育児書やテレビ、子育て系のサイトを見ていると
テレビに子守をさせるのはよくない
というのを目にすることは多いのではないでしょうか。
しかし、
なぜテレビが子どもによくないのか?
どれぐらいテレビを見せるといけないのか?
どういった影響がでるのか?
といった細かいところは知らない方が多いのではないでしょうか。
子どもにテレビが悪影響といってもテレビを見せている間だけはおとなしくしていることも事実。特に2歳以下の子どもだと家に一緒にいる時間が長いのでテレビをまったく見せないというのは不可能です。
そこで、この記事では2歳以下の子どもにテレビを見せる影響について、テレビをうまく活用するにはどうしたらよいかを説明します。
目次
ママのためにも子育てにはテレビが必要
ネットで情報を探しているママとしては、テレビが子どもにとってあまりよくないということはすでに知っていると思います。
しかし、毎日子どもと2人っきりで過ごすのは精神的にも肉体的にも疲れてしまいます。特に0歳~2歳の間のコミュニケーションがあまりとれない状態だと、子どもが寝ているとき以外はママが休まる暇がほとんどありません。
しかし、テレビをポチッとつけると、子どもは喜び、テレビを楽しく見続けるため家事ははかどり、自分の時間もつくれる。こうなれば、いくらよくないと言われてもテレビに頼って子育てをしたくなるのも当然でしょう。
確かにテレビは一方的な情報なので、コミュニケーションをとるために子どもと遊ぶのは大切です。しかし、幼稚園、保育園に行っていない子どもと一日中遊ぶのは本当に疲れます。
「テレビは一切使うな」というのは子育てになれたベテランママさんか、実際に子育てをしていない、どこかの教授先生の理想論です。精神的にも、肉体的にも疲れやがたまってママの元気がなくなって子どもにつらくあたるようなことになれば本末転倒です。
ママの心が健康であることが子育てにはなにより大切です。テレビをうまく活用して子育てをしてください。
そもそも、なぜテレビが育児に悪いのか?
テレビが幼児にとってよくないとされる原因としては、以下のようなことが言われています。
コミュニケーションがとれない
テレビは一方的な情報なので、子どもがテレビに向かって話しかけたり、指をさしても誰も反応してくれません。
幼児期の言語の発達には一方的に聞くだけでなく、誰かとのやり取りの中で発達します。
特に2歳までは、言葉や感情が育つための大事な時期なので言語の発達が遅れる可能性があるということです。
集中力が悪くなる
テレビを長時間ダラダラみている場合には集中力が低下すると言われています。遊んでいるとき、食事のときにテレビをつけていると、音や刺激でテレビがきになって集中しできません。
睡眠時間が悪くなる
テレビは映像や音で刺激が強く興奮することもあります。
特に夜寝る前までテレビを見ていると、強い刺激によってなかなかスムーズに寝なかったり、眠りが浅くなって必要な睡眠が十分にとれないことがあります。
このようにテレビの悪影響を指摘している情報が多いのですが、そもそもこれは2011年に発表されたアメリカの小児科学会の声明の影響が大きいようです。
この提言の中には、テレビにおける教育効果、テレビをつけっぱなしにしている影響、子どもの生活への適切な時間利用、健康への影響、発達への影響がかかれています。そして、先ほどの幼児へのテレビへの影響とほぼ同じような論調が書かれています。
乳幼児のメディア使用に関するアメリカでの最近の声明と わが国における今後の課題
「Media Use by Children Younger Than 2 Years.」(英語)
日本の小児科医学会の見解
そして日本の小児科医で広く伝わっているのがこの日本小児科学会の見解です。この提言を見ると、やはり言語発達やコミュニケーションの点を危惧していることがわかります。
提 言
1.2歳以下の子どもには,テレビ・ビデオを長時間見せないようにしましょう.
内容や見方によらず,長時間視聴児は言語発達が遅れる危険性が高まります.2.テレビはつけっぱなしにせず,見たら消しましょう.
3.乳幼児にテレビ・ビデオを一人で見せないようにしましょう.
見せるときは親も一緒に歌ったり,子どもの問いかけに応えることが大切です.4.授乳中や食事中はテレビをつけないようにしましょう.
5.乳幼児にもテレビの適切な使い方を身につけさせましょう.
見おわったら消すこと.ビデオは続けて反復視聴しないこと.6.子ども部屋にはテレビ・ビデオを置かないようにしましょう.
テレビの視聴はダメではない
アメリカや日本の小児科学会はテレビに対する否定的な見解ですが、実はテレビは完全にダメだとは言っているわけではないのです。
特にアメリカでは2歳以下の平均的なテレビの視聴時間が6時間とされています。NHK放送文化研究所の日本の2歳以下の平均視聴時間は約3時間なのでアメリカほどテレビ漬けになっている家庭は少ないようです。
そして、先ほどの日本小児科医の提言では長時間の視聴はよくないと言っています。ちなみに長時間視聴とは4時間が目安です。日本小児科学会では2時間以内を推奨としているので、その範囲で注意しながら見させるのはいいでしょう。
テレビの影響に対する議論
そう、テレビを長時間見せるのはよくないというのは、あくまでも一つの研究機関の論調なのです。当然、影響はないという識者もいます。
http://dual.nikkei.co.jp/article.aspx?id=1815
上記の記事は発達心理学の研究をしているお茶の水大学の教授ですが、こちらではテレビの見すぎはテレビのせいではなくそもそもテレビを長時間見せる親による放置による影響を問題視しています。
確かにテレビを長時間みせている親は、たとえテレビを見ていなかったとしても子どもとのコミュニケーション自体が不足している可能性があるので、一概にテレビが悪影響を及ぼしているとはいえないのかもしれません。
結局論文では統計的なことしかわからない
アメリカの論文もそうですが、研究はどうしてもテレビを何時間見ていた、結果的に発語が遅かったという統計での差異しかわかりません。その親と子どもの普段の関係、テレビを見ていないときの様子などの細かいところはまったく考慮できないのです。
発語が遅い子は、まだ保育園にいっていないため親が先回りしてやりたいことをやってしまうので言葉を発する機会がないということもあります。
そういう子どもの場合、保育園に通って他の子と触れ合うと、なんとか言葉で伝えないとわかってもらえないので爆発的に言語が増えることがあります。 このように言語発達が遅れるというのにも、いろいろな理由があるのです。
つまり発語の遅れがテレビの影響かどうかは、すべての子どもの環境を同じにしないとわからないということなのです。
テレビを見ると目が悪くなる?
テレビを見すぎると目が悪くなるということは誰もが聞いたことがあると思います。実際にテレビを見ることで視力が悪くなるのか私も気になったので、参考になる論文を探してみました。
そして見つかったのが、以下の「幼稚園児のテレビ視聴時間及びテレビ ゲーム遊び行動と視力の関係」という研究報告です。対象は幼稚園児ですが、テレビをあまり見ない子とよく見る子の間で有意義な関係性はなかったということです。
これは幼児期の論文なので念のため小児科医に2歳以下でのテレビの影響での視力低下を聞いてみたところ、特にそういう報告を聞いたことはないということなのでテレビで視力が悪くなるのでは?というのは長時間見せ続けるということでもない限り、あまり気にしなくともいいと思います。
幼稚園児のテレビ視聴時間及びテレビ ゲーム遊び行動と視力の関係 愛総研・研究報告 創刊号 平成11年
子どもへのテレビの影響:まとめ
アメリカや日本の小児科学会では「2歳以下の子どもにテレビ視聴は推奨しない」、見せるとしても短時間で親が付き添うのが望ましいとの見解です。一方で発達に関する調査は非常に難しく、一概にテレビが影響しているとはいえないという考え方もあります。
影響があるかないかという議論はありますが、テレビ視聴が幼児へ影響を及ぼすことは絶対にないとはいえないのが現状です。しかし、子どもと2人で過ごす孤独になりやすいママにはテレビやDVDの助けはとても重要でもあります。
テレビの影響を少なくしてママの負担も減らす方法として以下のようにテレビと付き合ってはどうでしょうか。
テレビを見ない環境をつくる
テレビが子どもの成長に悪影響を及ぼすとは必ずとも限りませんが、「やはり心配だ」という家庭もあると思います。
子どもがテレビに頼らずに遊んでくれれば、必ずしもテレビは必要ではないのです。おもちゃや絵本などを買い与えれば、ひとりでに遊んでくれる子もいますが、どんな年齢、月齢でどんなおもちゃが適しているか、なかなかわかりにくいですね。
そんなときには、子どもちゃれんじなどの通信教材が適しています。こどもちゃれんじなら、毎月月齢にあった教材やDVDが届くので「今はどんな知育教材が必要なのか?」「まわりの子はどんなことができているの?」といった今必要なおもちゃを親が悩んで選ぶ必要がなく、とても便利です。